11月, つぶやく:仙人がやってきた日

うちの床の間には絹織物のタペストリーが掛けてある。
風変わりだけど、私はもともと変わり者なのであって、誰も普通を期待していない。

今日、人生初の掛け軸を買った。
友人の吉祥美玲恵さんの父上、水墨画の名立帰山先生の展示会で惚れ込んでしまった掛け軸。
高価なものだけど今回はチャリティー展示会、安価に販売されていたおかげで私にも購入できた。
天地の色が美しいブルー。
水墨画で描かれているのは、おちゃめな仙人。
食べてはいけないと言われていた桃を食べてしまったばかりに、
地上に降ろされ千年生きてしまったと言う中国に伝わる話が題材になった掛け軸。
描かれた千年生きる羽目になった人物は、
手のひらに果実を載せ、目と歯が妙にキラキラとしたイケメン仙人。
私は千年生きたくはないけれど、
不老不死という、人類の永遠の夢が描かれた縁起のよい掛け軸だ。

掛け軸の定番は山水画で、
季節を問わないので床の間のあつらえとしておすすめらしい。
3日間の展示会の最終日ということもあって、山水画の掛け軸は3幅ほど。
私の他にも何人か帰山先生のアドバイスを真剣に聞き入っていた。

家に戻り床の間に直行、仙人の掛け軸はすぐにうちの床の間に馴染んだ。
掛け軸の見立ては難しいと敬遠していたけれど、
ご縁のある帰山先生の掛け軸がかけられたことで、
やっと納得のいく客間として整った気がした。
部屋が整ったのはもちろんだけど、最初に整ったのは心の方だった。
私が選んだのか、仙人がうちを選んだのか、
わからないくらいに馴染んでいる。

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