10月, オトナの庭遊び, つぶやく:暗闇の一歩手前

明日は100%雨予報なので、
ケンが仕事から帰るのを待って、
ハザかけした稲にビニールシートをかけにいく。
そうしておけば、明日の雨予報が的中しても大丈夫。

10月も半ばを過ぎれば、夕方は夜へとスピードをあげていく。
今日は気温もグーンと下がってパーカーくらいじゃ防寒にならないから。
17時になると、近くの山々は黒い影になってこちらに迫ってくるように見える。
こんな時、私は決まって毎月配られる市の広報に掲載されている熊の目撃情報が頭をよぎり心臓がばくばくするのだ。
一刻も早く帰らなくちゃと気が焦る。
今月の広報にも近くで目撃情報があったから熊がいることは間違いないのだ。
のんびりしてる場合じゃない。
でもケンは慌てるふうでもなくいつものマイペース。
私と一緒になって怖がられても困るから、
こんな時のケンのマイペース、私にとってはありがたい。

熊は音に敏感なので黙って黙々と作業するのは一番良くない。
私の知る限りの熊についての情報(うわさ話やむかし話も含む)を引っ張り出す。
例えば、熊は一度人間を襲うと味を覚えてしまうこと、そして食べ物だと認識してしまうこと。
冬眠前の熊は凶暴ということ、
熊は人間がいない夜に里に降りてくることもあるけれど、
本来昼行性の熊は薄暗い時間帯に活発に行動すること、
近くで熊目撃があったこと、
もしも熊が寄ってきたら持っている鎌で戦う勇気はあるの?とか、
ぬかるんだ田んぼは走れないよとか、
まさか森のクマさんの歌を信じてないよね?とか・・・
この際、会話はなんでもいいのだ。

暗闇一歩手前になった。
暗闇までのカウントダウンが始まる。

静まりかえる田んぼから高速道路を見上げると、
木々の間からもれる車のライトが点いたり消えたりして見えて、
警告灯のようにも見える。
最後の1本の紐を結び終えて、車に乗り込んだ。

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