11月, つぶやく:静かな雑貨たち

よく通う雑貨屋さんが閉店した。
大人かわいいが並ぶ店内の一角にスタイリッシュなビジネス雑貨のコーナーを置く配置だが、
実はその店内でひときわ存在感を漂わせている帆布モノが主役だ。
お店のどの雑貨も静かで、出しゃばらないのが特徴。
セレクトされた雑貨が静かなのは少しばかりお高いのだ、鼻が?
いえ、値段が。
値段相応の良いもの、と考えればいい。贈り物に最適、自分へのご褒美にも。
狭い店内を、どの家にもある棚やテーブルで仕切ることで、雰囲気の違ういくつかのブースはたちまち「私の家」になる。

大人かわいい→妻、スタイリッシュ→夫という図は、店内を歩くうちに妄想のように浮かび上がる。
こんなお鍋を使う人は、こんな洋服を着ているんだろうなぁ。
こんな洋服にはこんなシンプルなエプロン、
このエプロンをつけて洗濯したものを、このカゴに入れて干す私はオトナカワイイ・・・みたいに。

近所のスーパーなら素通りの亀の子タワシでも、このお店でディスプレイされていたなら一旦は手に取って「亀の子タワシってこんなにかわいかったんだ」と呟くだろう。

そしてお店をぐるりと一回りして見ると、
今さっきかわいいと呟いた亀の子タワシをひとつ買ったところで「私の家」が、自分が誇大妄想した大人かわいいにならないことに気がつくのだ。
でも本当のところ、
日用雑貨は使用頻度も高く目につくところにあって重宝するもの。
かわいい亀の子タワシの存在感はキッチンを魔法のように大人かわいいにする。
なのに静かな亀の子タワシは、去っていく人を追いかけようともしない。
追いかけようもないけど。
追いかけても亀だけど。

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